登場作品：マイロボット（漫画）

藤子不二雄の短編作品。「創世日記」に収録。
ゼネラルロボッツカンパニーの新製品「エポック１」。
会社に注文をすると組み立てキットが家に届き、客が自分で組み立てるという代物。
主人公富夫は、今回その組み立てキットを購入、さっそく組み立てにかかる。が、彼女か？幼馴染か？リカと言う女の子から遊びに誘われ、作業を中断。
作業場をそのままにして出かけたため、弟と父親が興味を持ち、勝手に組み立ててしまう。
帰ってきた富夫は進められている現場を発見して怒るが、その後ちゃんと作業を再開し、無事にロボットは完成。
すっかり完成のはずなのに、名前を呼んでもロボットは動かない。
そこで頭をポンッと叩くと…
ゴンベは産声をあげた。

原因のひとつは作り方をまちがえたこと。
もうひとつは知能素子のプリント配線にゴミかキズがあって、偶然それらが重なりあって未知の効果が生まれているらしい。
そのせいで、ゴンベは自我ができてしまった。
ゴンベは０から出発してすこしずつ学習する。
最初は赤ん坊のように、泣く事しかできない。
充電してやると泣き止む様は撫で回したくなるほど可愛い。
その後、歩けるようになり、言葉も話せるようになる。
ちなみに最初に話した言葉は「 デンチ　デンチ 」
富夫が学校から帰ってくると、「オカエリ」と言って出迎えてくれたり、「アソボ　アソボ」と遊びを催促したり、もうここら辺は本当可愛い盛りである。
ゴンベはオセロが好き。AIは頭脳系の遊びが本当に好きだな。
お手伝いもするし夜食も作ってくれるし、ゴンベは凄く良い子。
とても階段を下りられそうな足の形じゃ無い（足は板に三つタイヤが付いた物を想像して下さい）のに、階段をいとも簡単に降りるその様は凄い。
ゴンベは良い子だ。良い子だったのに…

愛と言う物は機械を狂わせてしまうものらしい。
ゴンベは、富夫に愛されたいとねがうあまり自分を女性化してしまう。
そして、いつしか富夫と仲良くするリカにねたみの感情を抱き始める。
家に富夫を呼びに来たリカに嘘をついて追い返したり紅茶に塩を入れたり…
最後は、怒ったリカに「できそこない」と言われ、キレて彼女を襲う。
しかし、襲ってる姿はなんだか「ポカ ポカ」と言う効果音が似合いそうな感じだ。
リカをかばう富夫に、
「アナタノタメデス
　信ジテホシイ
　アナタ今
　ダイジナ時
　ワキ目モフラズ
　勉強スベキ時」
ゴンベは自分に嘘をつく。
本当は、富夫をリカにとられたく無いが為にリカを襲ったのに。
怒った富夫に家から追い出され、ゴンベは雨の中に消えていく。

このように、「自分にウソをつく能力」を持つAIは少ないのでは無いだろうか。
そんな少ない能力を持つゴンベはえらいっ！

エポック１は他の家からも結構家出してるようで、いつか「野生のゴンベが飛び出してきた！」って事になりそうです。

筆者：ホでヴ