登場作品： サイレント・ランニング（映画）
 スター・ウォーズにカメオしているらしいが、未確認。（情報求む）


宇宙船バレー・フォージ号の整備用ロボット。
三体おり、胸部にちいさく、背中にデカデカ記されたナンバーで識別できる。
一号機は青色、二号機は赤色、三号機は緑色をしている。

二足歩行。船外の作業にも耐える強靭な足腰をもつ。
胸部に格納された一本のアームを使って作業をこなす。
学習できる自己意識をもっている。空気穴から空気を出す音により、ドローン同士で意思疎通ができる･･･らしい。
彼らの見たものは、カメラを通してモニタリングされている。直接の命令も、モニター室で命令することで同時に複数のドローンに作業させることが可能。

宇宙船の整備全般が彼らの仕事だが、命令いかんによっては何でもこなす。
具体的には、手術を手伝ったり、ジョウロで水遣りをしたり、お墓を掘ったり、ほんとなんでも。無論いうまでもないが、かわいい。
ローウェルが戯れにつくった追加プログラムによって、ポーカーができるようになった。腕前は、作ったローウェル自身が驚くほど強い。フルハウス！
予断だが、娯楽室にはビリヤードの玉をセットするため”だけ”のロボットがいるが、意思があるかは不明。（あくと）

二十一世紀はじめごろ。
宇宙船バレー・フォージ号は、地球の絶滅植物を保存することを目的として、植物の標本を詰め込めるだけ詰め込んで、宇宙を航行していました。いわば、植物版ノアの箱舟。
人間の作業員は４人。人間の居住区にあたる船に、植物の温室ドームがみっつくっついている構造をしています。
ドーム内には植物のほかに、少数の動物が住んでいます。

植物学者のフリーマン・ローウェルは植物だいすき。菜園趣味が高じて、自分の口にするものも自分で育てます。
一方、残りの３人は、管理された地球のほうが居心地がいいよねとか言いながら、レトルト食品を食します。その価値観の違いに、衝突することもしばしば。

ある日、地球から植物保存計画は中止、温室ドームを破棄せよとの命令が下されます。
命令を拒否するローウェルに対して、これで退屈な宇宙生活ともおさらばだぜぇとばかりに喜ぶ３人。
温室ドームは予定通り、ふたつまで爆破されます。
しかし、植物を破壊するのがどうしても許せなかったローウェルは３人を殺害、植物とともに宇宙船に立てこもり、宇宙に潜る（サイレント・ランニング）ことを選びます。
その時にパートナーに選んだのが、三匹のドローンでした。

彼らは番号順に、デューイ、ヒューイ、ルーイ（ドナルドダックの甥兄弟の名前）と名付けられます。
が、三号機のルーイは、船外作業中、たまたま土星の輪の中に入ってしまい、吹き飛ばされてしまいます。
片腕だけになってしまったルーイを拾ってきて、死を悼むドローンたち。
以下、実質残りの二匹がローウェルを手伝うことになります。

いつからか、温室のドームの植物が弱ってしまいます。原因は不明。
ローウェルは謎の現象に頭を悩ませますが、事態はいっこうに改善しません。
そのうち、ローウェルはあんなに忌嫌っていたレトルト食品を食するようになり、仲間を殺した罪の意識にさいなまれます。
植物の衰弱は、太陽から離れたことによる日照の不足だということが判明。温室ドーム内に、大量の電球を運び入れることで解消します。

運がよいのかわるいのか、地球の救助船が、宇宙をさまようバレー・フォージ号を発見してしまいます。このままでは事件はすべて明るみに出てしまう･･･。
考えごとをしながら作業車を走らせていたローウェルは運転を誤り、ヒューイと衝突してしまいます。ローウェルですら取り返しのつかないほどの怪我を負うヒューイ。
「彼の不注意だ」と、ローウェル。三号死亡のときも、同じようなことを言いました。いやなやつです。
悲しげにヒューイに寄り添うデューイ。「そんなことをしても、どうすることもできないんだ」と諭しても、彼は離れようとしません。いいやつです･･･

もう、まもなく救助船が到着です。時間は残されていません。
ローウェルは決断します。
彼は、温室ドームの植物の世話をデューイに託し、温室ドームと宇宙船を切り離します。
負傷したヒューイとともに、宇宙船を爆破。自害を選んだのです。
ノアの箱舟は、”誰にも知られず（サイレント・ランニング）”、宇宙を彷徨します。
残されたデューイはひとり、黙々と植物の世話をします。


彼らが、三匹並んでヒヨコのようによちよち歩く姿、
足踏みでリズムを取る姿、
物をみるときに、上方を仰いだり、覗き込んだり、傾げたりする仕草。
そして、デューイの持つジョウロには、庭を楽しそうに手入れする子供たちの絵が描かれています。
ドローンたちのいじらしさ、悲しさ、愛しさに満ちた良作映画です。（あくと）